ピアノで指が届かない!とお悩みの方へ。ストレッチ&演奏法を紹介!

  • 「指が短くて届かない音がある…思うように弾けない…」
  • 「せっかく弾きたい曲なのに、諦めるしかない?」
  • 「もう少し指が開いたらいいのに…」

ピアノの練習で「指が届かなくて辛い」という経験をしたことはありませんか?

音域の広い和音やオクターブが連続するメロディなどを弾くと、「あと1cm指が長かったらなぁ」って思いますよね。

手の大きさなど、体格や骨格を変えるのは難しいです。

だからといって、好きな曲の演奏を諦める必要はありません!

ちょっとした工夫で、手が小さくても指が短くても、好きな曲を演奏することができますよ。

本記事では、ピアノで指が届かなくて困っているという方に向けて、指の可動域を広げるためのストレッチと楽譜のアレンジ方法3つを紹介します。

  • 指の可動域を広げるストレッチのやり方
  • 指が届かない時に役立つ楽曲のアレンジ方法3つ
目次

そもそもピアノは西洋人に合わせて作られている

ピアノを弾いていると「指が届かない…1オクターブでやっとだ…もしかして自分の手はピアノに不向きなんじゃないか…」と不安になったり落ち込んだりすることがありますよね。

でも、全然落ち込む必要はないんですよ!なぜならピアノという楽器は、そもそも西洋人のスタイルに合わせて作られ、発展してきたからです。

ところで皆さんは、ピアノの起源をご存じですか?

ピアノは、18世紀頃イタリアのクリストフォリによって原型が作られました。この頃は今のピアノと比べて鍵盤数は少なく、とても繊細な音がしていました。

19世紀頃には音域・音量の拡大、連打のアクションの改良が加えられ、現代のグランドピアノのように表現の幅が広い楽器へと変化していきます。

この頃は、ピアノの魔術師と呼ばれたリスト、ピアノの詩人と呼ばれたショパンなど、ダイナミックで煌びやかな音楽家たちが活躍しました。

特にリストは「演奏会で何台ものピアノを壊した」「ピアノ職人はリストの演奏に耐えられるように製造法を試行錯誤してきた」などの逸話があるほど、力強い演奏で有名でした。

このようにピアノという楽器は、西洋で生まれ、西洋音楽家と共に発展してきた楽器と言えます。

また、スポーツなどを見ていても明らかなように、アジア人である日本人は、白人や黒人の選手に比べて小柄なことが多いですよね。

なので、本場である西洋のスタイルに合わせて作られたピアノを、小柄な日本人が弾きこなすのは難しくて当たり前なんです。

ピアノも洋服や靴のようにサイズが選べたら良いのですが、多少の差異はあるにしろ、鍵盤の横幅などは規格で決められているというのが現実。厳しい!

手が大きいと言われた音楽家

ここで、手が大きいと言われていた音楽家のリストとラフマニノフについて少し紹介します。

ハンガリーの音楽家、リスト。「超絶技巧」の演奏技術で、ピアノの魔術師と呼ばれていました。

リストは13度(ドから1オクターブ上のラ)まで指が開くと言われていますが、幼少期には、すでに12度(ドから1オクターブ上のソ)届くほど大きな手の持ち主だったそうです。

ラフマニノフはロシア出身の音楽家です。「のだめカンタービレ」のピアノコンチェルトで有名になりました。

彼もリスト同様、13度程(ドから1オクターブ上のラ)まで届いたと言われています。

ちなみに13度の指の開きは、親指と小指の間で30cm定規を挟めるくらいの大きさです。すごいですね!

実際にラフマニノフの手の形を紙粘土で再現した方がいらっしゃいました。

参考に見てみてください。

手が小さい日本人ピアニスト

「13度どころか、1オクターブでもいっぱいいっぱいなのに!」と思いますよね。

ですが小柄で手が小さくても、素敵な音楽を奏でる日本人ピアニストはいます。

ここではピアニストの中村紘子さんと清塚信也さんについて紹介しますね。

中村紘子さんは国内外で活躍された日本を代表するピアニストのひとりです。2016年に大腸がんのため永眠されました。

日本人ながら、世界的に有名なショパン国際コンクールで入賞するという功績を残していますが、実は1オクターブ程度しか指が届かなかったそうです。

参考に、こちらの演奏をどうぞ↓

小さな手で奏でられているとは思えないほど、魅力的でパワフルな演奏ですよね。

そして清塚信也さん。クラシック演奏の実力はもちろん、アレンジや即興演奏などの才能もあり、バラエティ番組でも活躍しています。

実は以前、インスタグラムでこのような投稿をされていました。

細かなフレーズや重厚な和音を難なく演奏されるので「手が大きくて指が長い方なのかなぁ」と思いがちですが、実は9度(ドから1オクターブ上のレ)を押さえるのがやっとだそうです。

参考に、こちらの演奏をどうぞ↓

オクターブや跳躍の多いアレンジですが、余裕を持って弾いてる感じがとてもかっこいいですね。

ここまで読んでいただき、「手が小さくても指が短くても素敵な演奏ができる!」ということを理解していただけたと思います。

次に、指の可動域を広げるためのストレッチの方法と、指が届かなかったときに役に立つ楽曲のアレンジ方法について紹介します。

工夫次第で演奏可能!ピアノで指が届かない時の方法2つ

ここでは、指が届かないという悩みを解消するための方法を2つ紹介します。

手の大きさや指の長さは、なかなか簡単には変えられません。ですが、日々のストレッチで指の柔軟性を高め、指の可動域を広げることはできます。

一朝一夕では身につきませんので、毎日地道にストレッチしましょう!

指のストレッチをして可動域を広げる

指が柔軟なピアニストの方は、親指と小指、薬指等それぞれの指の間を180度開くことができます。これによりオクターブがより掴みやすくなります。

手順

  1. 手首を回すなどして軽く手を温める
  2. 両手の親指と小指(1-5の指)をできるだけ180度開く気持ちで広げ、鍵盤や蓋のフチに沿うように置く
  3. 鍵盤に対して垂直にグッと押しながら、親指と小指の間が広がるようストレッチをする
  4. これを親指と薬指(1-4の指)、親指と中指(1-3の指)、親指と人差し指(1-2の指)まで繰り返す

これに加えて、人差し指と中指(2-3の指)など全ての指の間もストレッチしましょう。使っていない方の手で指の間を外側に押し広げるようにストレッチします。

そうすることで指がよく開き、よりいっそう無理なくオクターブが掴めるようになります。

力を込めすぎると指の筋を痛めてしまうので、イタ気持ち良いくらいでOKです。

アレンジして演奏する

いくらストレッチをして柔軟性をつけても、やはり10度以上開く和音などを同時に抑えることは物理的に難しいものです。

ここでは物理的に届かない和音に出会ったときの対処法を3つ紹介します。

 分散和音や装飾音にして演奏する

引用:
https://imslp.org/wiki/Piano_Concerto_No.2%2C_Op.18_(Rachmaninoff%2C_Sergei)

こちらの楽譜をご覧ください。

これは、ラフマニノフ作曲『ピアノ協奏曲第2番第1楽章』の冒頭のピアノです。ご覧の通り、左手が約10度(ファから1オクターブ上のラ♭)開いています!恐らく大抵の人は届かないでしょう。

指が届かず同時に押さえられない和音などは、分散和音で演奏することで対処できます。

分散和音とは、例えばド・ミ・ソの和音を、同時にではなく一音一音バラバラに演奏する方法です。

こちらは、アシュケナージというピアニストが演奏するピアノ協奏曲2番の冒頭。
※冒頭の和音だけでもお聴きください!

冒頭の左手の和音「ファ・ド・ラ♭」を、ジャランと演奏していますよね。これが分散和音です。

分散和音を上手に弾くコツは3つ!

  1. 手首を柔らかくすること
  2. 次の音へできるだけ最小限の動きで移動すること
  3. ペダルを滑らかに使うこと

この3つを意識して練習してみてください。

もう一つ別の例で、ファを装飾音として演奏し、残りの「ド・ラ♭」を同時に押さえるという演奏方法もあります。

装飾音とは、メロディに付け加えられた短い音のことです。

引用:https://imslp.org/wiki/Mephisto_Waltz_No.1,_S.514_(Liszt,_Franz)

譜例はリスト作曲の『メフィストワルツ第1番 村の居酒屋での踊り』の冒頭。

左手の「ミ」の音の手前に、スラッシュが引かれている小さな八分音符の「レ♯」の音がありますよね。この音を装飾音といいます。

1拍目あたまの「ミ」に、「レ♯」の素早く音を引っかけるように演奏します。

こちらはリシッツァが弾くピアノ協奏曲2番冒頭部の演奏。「ファ」の音を装飾音のように引っかけて、すばやく残りの和音を演奏しています。

音が飛んでいるものの、ペダルの助けもあり、和音として十分成り立っています。

このように同時に和音を押さえていなくても、分散和音や装飾和音で演奏することで、和音の美しさを損なうことなく演奏することができます。

 空いている方の手で音を弾く

ちょっとした裏技なのですが、片方の手がお休みの場合、届かない音をお休みしている方の手で弾いて補うという方法もあります。覚えておくととても便利ですよ!

 弾かなくてもいい音を省略する

最終手段として、和音構成や旋律に支障のない音を省略して演奏するという方法もあります。

例えば、オクターブの旋律の場合には高音部だけを弾いたり、和音の場合にはベースライン(低音部)以外の音を省略したりなどです。

※ちなみにベースライン(低音部)は根音と言います。「ド・ミ・ソ」の和音の「ド」です。ベースラインの音には、曲調を左右する大切な役割がありますので、省略しないように注意してくださいね!

音を省略する場合は、原曲の雰囲気を損なわないように注意しなければなりません。聴いてみてよっぽどおかしくなければ大丈夫ですが、心配な方は習っている先生や他の誰かに聴いてもらいましょう。

この方法は飽くまで最終手段。演奏者として、可能な限り楽譜どおり演奏するように心がけましょう。「無駄な音は一音たりともない!」という気持ちが大事です!

まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました。

指が届かなくてお悩みの方に向けて、ストレッチの方法と曲のアレンジ方法を紹介しました。

まとめると次のようになります。

指の可動域を広げるためのストレッチ

  • 鍵盤やピアノの蓋を使って、親指と小指(1-5の指)のように親指とそれぞれの指の間が180度開くようにストレッチをする
  • 人差し指と中指(2-3の指)、中指と薬指(3-4の指)、薬指と小指(4-5の指)の間を、空いているもう片方の手で外側に押し広げながらストレッチをする

指が届かない時に役に立つ3つのアレンジ方法

  • 分散和音や装飾音にして演奏する
  • 片手のみの場合、空いている方の手で届かない音を弾いて補う
  • 音を省略する

コツコツ地道な努力とちょっとした工夫で、好きな曲を楽しく弾くことができます。

ぜひ今日から真似をして、日々の練習に活かしてみてください!

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ここまでお読みいただきありがとうございました!
あらためてふくるーと申します。
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