- 「指くぐりって苦手・・・」
- 「指くぐりの前後でいつもミスしてしまう」
最初、僕は指くぐりというものを知りませんでした。全くもって。
ピアノ演奏者が弾いている横で見ていて、あまりにもなめらかに弾くもんだから、そんな高等テクニックを駆使しているなんて気づきもしなかった。
と、ピアノにおいて地味に難関で、思ったより頻繁に登場する指くぐりです。
指くぐりは何となくできていても、音がつっかえたりすべったり、ミスしやすいところでもありますよね。
黒鍵が含まれるとなおさら。僕もむずかしく感じることはよくあります。
でも、指くぐりにはいくつかのコツがあるんです。
それをマスターできれば、指くぐりが今よりもっとラクに、そしてなめらかにできるようになりますよ!
- 指くぐりの練習が大切な理由
- なめらかな指くぐりのポイント
- 指くぐりのトレーニング方法
この記事を読めば、指くぐりの苦手意識も克服できるはず!
ぜひ最後までご覧ください。
ピアノの「指くぐり」「指またぎ」ってなに?
「指くぐり」とは、ピアノを弾くときに、親指が人差し指や中指、薬指の下をくぐるように移動することです。
一方、「指またぎ」とは、人差し指や中指、薬指が親指の上を越えるように移動することです。
こちらの楽譜をご覧ください。
最初のファの音を弾くときに、親指が中指の下をくぐりますよね。これが指くぐりです。
そして、音階を降りながらミを弾くときに中指が親指の上を越えています。これが指またぎです。
この楽譜の場合、最初のドの音を弾くときに親指が薬指の下をくぐります。少し弾きにくいですが、こちらも指くぐりですね。
また、音階を降りながらシ♭を弾くとき、薬指が親指の上を越えます。これが指またぎです。
「指くぐり」と「指またぎ」はどちらも、88鍵盤ある広い音域のピアノをなめらかに弾くために必要なテクニックです。
指をくぐらせる瞬間だけでなく、くぐったあと元の手のフォームに戻るまでをスムーズにできるようにしていきましょう。
なぜ「指くぐり」の練習が大切?
指くぐりは、特別練習しなくてもできてしまうテクニックでもあります。
でも、ピアノを美しく弾けるようになるには、指くぐりの練習はとても大切なのです。その理由を解説します。
指くぐりのあとは音が乱れやすい
指くぐりがあるフレーズは音が乱れやすいです。
「なんか音がきれいに弾けないな…」と思ったことはありませんか?
もしかすると、指くぐりのあとに音が大きくなったり、音がすべったりしているかもしれません。
これはよくあることです。なぜなら、親指はほかの指と比べて太いため、どうしても音が大きくなりやすいのです。
また、早いフレーズほどすばやく移動しないといけないため、急ぐあまり強く打鍵してしまうこともあります。
このような親指のクセを知って練習すれば、音の粒をそろえて弾けるようになります。
無理な指くぐりは手を痛める原因になる
そもそも指くぐりは、手が痛くなりやすい動作なのです。
なぜなら、親指を小指側にグイっと入れると、親指を動かすための筋肉(母指球筋)や筋肉を支える腱に過度な負荷がかかるから。
試しに、手のひらを下にして机の上に置いてみてください。
その状態から、手のひらを上に向けてください。
おそらく、ほとんどの方は小指を軸にして手のひらを返したのではないでしょうか。
反対に、親指を軸に動かそうものなら、とても不自然な動きになってしまいますよね。
このように、体の構造からみても、指くぐりのような親指を軸にした動きは手に負担がかかりやすいのです。
そのため、指だけでなく腕や手首を使って負担の少ない指くぐりを練習する必要があります。
なめらかな指くぐりができるポイント3つ
きれいな指くぐりをするためのポイントを3つ紹介します。指くぐりのコツがつかめていない方は、ぜひ参考になさってください。
手首を下げない
指くぐりのときは、手首を下げないことがとても大切。
手首が下がってしまうと、指くぐりがやりにくいだけでなく、親指で弾いたときにどうしてもほかの音より大きな音が出て目立ってしまいます。
反対に、手首を下げないように気をつけるあまり、ガチガチに固くなってしまうのもよくありません。
手首が固まると指にも余計な力が入りやすいので、指くぐりのあとの音がぎこちなくなってしまいます。
手首を下げないようにするポイントは、指くぐりで親指を動かすときに肘や手首も一緒に移動すること。
肘で親指をひっぱるようなイメージをもつと、動かしやすいかもしれません。
肩が上がらないように気をつけつつ、肘〜手首〜小指が一直線上になるように意識すると、手首が下がらずに指くぐりしやすいフォームになります。
親指をくぐらせ過ぎない
「親指をくぐらせ過ぎる」とは、親指を思いきり内側へ曲げてしまう状態のことです。
ピアノを弾いていて親指の付け根が痛くなりやすい方は、親指をくぐらせ過ぎている可能性があります。
親指をくぐらせ過ぎるとどうしてもほかの指にも力が入るため、音が強く大きくなりやすいですし、そのあとの指の運びがスムーズにできません。
親指をくぐらせ過ぎないようにするポイントは、親指の爪の斜め45度(爪の角近く)の指先を当てるように弾くこと。
そうすると自然に手の甲が上がるため、親指が入るスペースができて指のくぐらせ過ぎを防げます。
指くぐりをする直前の音も重要
指くぐりをするときは親指に意識が向きがちですが、その直前の音もとても重要です。
こちらの音階の場合、指くぐりをする直前の音は最初のミですね。
ミの音を弾く中指で、コンパスのように軸をしっかり作ることが大切です。
軸をしっかり作ることで親指が入るスペースができ、すばやく指くぐりをすることができます。
きれいなフォームを作るポイントは、手の脱力と鍵盤を弾く指の位置です。
手は鉄棒をふわっと握るイメージで鍵盤に置きます。
人差し指・中指・薬指で弾く際は、指先と指の腹の真ん中で弾くようにすると、自然に手の甲が上がり指くぐりがしやすいです。
指くぐりをする直前の指のフォームも意識して、練習してみましょう。
【指くぐりの3つポイントまとめ】
- 手首を下げない
指くぐりで親指を動かすときに肘や手首も一緒に移動する
- 親指をくぐらせ過ぎない
親指の爪の斜め45度(爪の角近く)の指先を当てるように弾く
- 指くぐりをする直前の音も重要
直前の音は特に、手のフォームを意識して弾く
指くぐりをマスターしよう!3つのトレーニング方法
指くぐりのトレーニング方法を3つ紹介します。
どれも地味な練習ですが、続けることで確実に上達できますよ。
指くぐりに苦手意識がある方は、どれか一つでもいいので日々の練習に取り入れてみましょう。
3本の指で音階を弾く練習
こちらの楽譜のように、親指・人差し指・中指の3本だけを使って音階を弾く練習です。
単調な音階を弾くことで、手首や指のフォームを確認しながら、指くぐりをするときの鍵盤の感覚をつかむことができます。
先ほどお伝えした、指くぐりの3つのポイントに気をつけながら弾いてみましょう。
音階を降りてくるときは、中指が親指を越えるので「指またぎ」になります。
指くぐりとは反対に親指が軸になるので、親指の鍵盤が当たる位置をしっかり確認しながら、手首が上がりすぎないように気をつけて弾きましょう。
指くぐりの反復練習
もう一つは、楽譜中の指くぐり部分をピックアップして反復練習する方法です。
指くぐり部分だけをくり返し練習することで、指くぐりの際の手や指の動きを確実にします。この楽譜の場合、はじめのファの音を弾くときに指くぐりをしますね。
そこで、ファに親指を置いたまま、前の音と次の音を指番号通りに弾きます。
「ファ(1)は押さえたまま…ミ(3)→ソ(2)→ミ(3)→ソ(2)」とくり返します。
このときも、指くぐりの3つのポイントを意識しながら弾いてみてください。
いま練習されている楽譜の中に指くぐりがあれば、そこを取り出して何度も練習してみましょう。
手首が柔らかくなるストレッチ
指くぐりに限らずピアノ演奏全般に言えますが、手首がしなやかに動くことで適度に脱力しやすくなり、美しい音を奏でることができます。
そこで、手首が柔らかくなるストレッチを紹介します。
(ストレッチは1:52より開始します)
ストレッチ:STEP1
- 片手の肘をしっかり伸ばし、手のひらを肩の高さまで上げる
- もう片方の手で指先を持ち、手の甲が腕の方に近づくようにしっかり伸ばす
- 呼吸を止めずに15~30秒キープする
ストレッチ:STEP2
- 正座で座り、指先を自分の方に向けて手のひらを床につける
- 両肘を伸ばしたまま、呼吸を止めずに15~30秒ストレッチする
ストレッチ:STEP3
- 椅子を用意し、椅子の正面に立つ
- STEP2と同様に、指先を自分の方に向けて手のひらを椅子の上に乗せる
- しっかりと肘が伸びて、手のひらが全面付くところまで体を後ろに下げる
- 手が浮かない限界のところで止まり、そこで呼吸を止めずに15~30秒キープする
おすすめの教本
指くぐりをもっと練習したい方におすすめの教本を、1冊ご紹介します。
【ピアノ基礎練習 スケールとアルペジオのためのテクニック | 丹羽みどり】
指くぐりを右手と左手別に、さらに親指が中指の下をくぐる場合と薬指の下をくぐる場合に分けて、徹底的に練習できる1冊です。
まとめ
今回は、なめらかに指くぐりができるようになるポイントと練習方法についてご紹介しました。
指くぐりは初心者向け楽譜でも登場するテクニックの一つですよね。
特にミスしやすいところでもあるので、今回ご紹介したポイントを確認して、なめらかに弾けるようにマスターしましょう!
指くぐり部分に限らず、どうしても音の粒がそろわずきれいに弾けないと感じている方は、こちらの記事もぜひご覧になってくださいね。
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