ピアノが弾ける人の頭の中はどうなってるの?脳の動きを解説!

悩む人

ピアノが弾ける人の頭の中はどうなってるの?幼少の頃からやってない自分でも弾けるのか教えて!

こんな疑問にお答えします。


こんにちは、ふくるーです。

今回は、「ピアノが弾ける人の頭の中がどうなっているのか?」について解説します!

記事の内容

  • ピアノが弾ける人は頭がいい?
  • ピアノを弾くとき頭の中はどうなっているの?
  • ピアノが弾けることのメリット5つ

記事で得られること

  • ピアノが弾ける人の特徴がわかる
  • ピアノを弾いているときの脳内の動きがわかる
  • ピアノが弾けることで得られる能力がわかる

ピアノが弾ける人を見ると、「なぜ右手と左手でバラバラの動きができるの?」と思いますよね。

いざ自分でピアノを弾いてみても、その仕組みはまったくわかりません。やはりピアノが弾ける人の脳は特別なのでしょうか?

途中ちょっと難しい話が多くなりますが、なるべく嚙み砕いて説明していきます。

これを読めば、演奏中のピアニストの脳内がざっくりわかります。興味がある方はぜひご覧ください。

目次

ピアノが弾ける人は頭がいい?

ピアノが弾ける人は、しばしば「頭がいい」ように思われます。実際のところはどうなのでしょうか?

1. 東大生にはピアノ経験者が多い

じつは「東大生の2人に1人がピアノ経験者」だと言われています。

「東大生が子どもの頃に通っていた習い事」の調査では、東大生100人のうち47人がピアノ経験者であることがわかっています。

記事によると、東大生で音楽系の習い事をしていた人の割合は、6割を超えています。

東大生へのインタビューでは、「頭を使っている感覚が勉強に役立っている実感がある」ようです。

2. ピアノを習っていた人は学力が高い

ピアノ経験者が多いのは東大だけではありません。

カシオ計算機株式会社が、「東京大学」「京都大学」「早稲田大学」「慶応義塾大学」の在校生・卒業生1,188名を対象に「子どもの頃の習い事」を調査しました。

その結果、難関大学の学生の43%がピアノを習った経験があると回答しました。

500人以上がピアノ経験者だったのです。

このことから、頭のいい人たちはピアノを習っていた確率が高いと言っていいでしょう。

では、なぜピアノは学力をアップさせるのでしょうか?

頭がよくなる理由とは?

ピアノを弾くことで脳が活性化し、あらゆる能力が向上します。

その理由は、目・脳・手・耳をフルに活用し、視覚・聴覚・触覚を刺激するからです。

「子どもにとってはピアノが脳の発達・成長の助けになる」

「高齢者にとってはピアノが認知症のリスクを低下させ、健康的な脳の維持を叶える」

「脳の老化を予防するためには、ピアノが有効」

このように老若男女問わず、ピアノと脳の間には深い関係性があることがわかります。

では、実際にピアノのどんな動きが脳と関係しているのでしょうか?

ピアノを弾くとき頭の中はどうなっているの?

【前提】脳の仕組みをかんたんに解説!

まずはじめに、超簡単に脳の仕組みを解説していきます。

  • 前頭葉:思考や判断など高度な知的活動を担う。
  • 頭頂葉:五感から集まった情報はここで処理され、「空間把握」や「知覚」を担う。また手先の器用さが求められる作業にも頭頂葉の働きが必要不可欠。
  • 側頭葉:音楽家には超大切!音声を理解する聴覚野がある。記憶や嗅覚にも関わる。
  • 後頭葉:視覚や色彩に関わる。視覚情報はここへ最初に行きつき、色や形を認識する。
  • 小脳:身体全体の平衡を保ち、知覚と運動機能を司っています(小脳はピアノの演奏に深く関わっていませんが)

上記のような脳が互いににやり取りして、ピアノの演奏を可能にしています。

難しく考えすぎず「へ〜、こんな感じなんだ〜」程度に読んでおいてください。

ピアノが弾いているときの頭の中はどうなっている?

それでは、ピアノを弾いているときの頭の中はどうなっているかを見ていきましょう!

ピアニストは、演奏するときに下記のような6つのプロセス踏んでいます。

  1. 楽譜を見る
  2. 楽譜の情報を一時的に記憶する
  3. ピアノを弾こうとする
  4. ピアノを弾く
  5. 音を聴く
  6. フィードバック

脳の働きと関連させて、順番に解説していきますね。

①楽譜を見る

ピアノを弾くとき、まずは楽譜を見ます。

このとき、「見る」という作業は後頭葉の視覚野で処理されます。

②楽譜の情報を一時記憶する

楽譜に書いてある音符や強弱記号などの情報は、頭頂葉前頭葉の「ワーキングメモリ(作業記憶)」を担う領域にたくわえられます。

ワーキングメモリとは、情報を一時的に記憶しておく能力のことです。

この能力が高い人は、「頭の回転が速い」「要領がよい」など頭がよいイメージを持たれやすいです。ピアノを弾くだけでワーキングメモリを鍛えることができるんですね。

③ピアノを弾こうとする

ピアノを弾く前に「弾こうとする」という段階に入ります。ここでは主に前頭葉が関わっています。

「弾こうとする」というのは、脳の働きで「実行機能」にあたります。

解決・達成したい目標に対して満足いく結果を得るために、計画的に行動する力です。

じつは先ほどのワーキングメモリもこの実行機能の仲間です。

感情をコントロールする能力や、課題を先延ばしにしない能力なんかも実行機能にあたります。自分を律する能力とも言い換えられますね。

ピアノを弾こうとする場面では、実行機能の中でも「感情のコントロール」が特に求められます。

例えば本番前なんかは、イスに座ってから演奏を開始するまで、気持ちを落ち着かせるため時間をかける演奏者が多いですよね。

演奏者にとって、まさにあれが「弾こうとする」段階です。

実行機能をうまく使って自分の感情や緊張感をコントロールしているんですね。

④ピアノを弾く

ピアノを弾くとき、鍵盤の場所や鍵盤同士の距離感を認識するために、「空間把握」が必要になります。

この空間認知は頭頂葉で行われます。

そして指先を使った細やかな動きを担う、前頭葉の運動野から身体全体に指令が出され、ここでようやく指が動き始めます。

ピアノを弾くときには細やかな動きが求められるので、鍵盤を弾く指先、肘、体幹、ペダルを踏む足先、関節など、前頭葉から同時にいくつもの指令が出されます。

繊細な動きをするために脳をフル回転で使っていることが分かりますね!

⑤音を聴く

ピアノから発された音は、側頭葉で音情報として受け取り、その後「これはドだ…これはレだ…」と情報を理解していきます。

このとき音情報を受け取るのは聴覚野。

その音情報を理解するのは言語野です。

「聴く」という1つの動作では、2つもの領域が刺激されているんです。

⑥フィードバック

弾いた音を聴いて、「音を間違えた」「もっとこう弾きたい」といったフィードバックが働きます。

このときには、④で出た運動野や⑤の聴覚野に限らず、その周辺やもっと深くにある領域までが複雑に関わってきます。

自分の演奏を瞬時に反省し、考えながら修正していく作業は脳のあらゆる部分が刺激されていることが分かりますね。


上記のように、ピアノを弾いているときは脳の機能をフル稼働させています。

簡単にピアノを弾くと言っても、頭の中ではすごく複雑なことをこなしているんですね。

ここまで脳が刺激されていると、結果として頭がよくなるのも頷けますね!

ピアノの学習によって他の能力も向上する!

ピアノを練習すればするほど、ピアノの能力が向上するのは当たり前。

しかし、ピアノ学習の効果はそれだけではありません。

驚くことに、ピアノを弾くことであらゆる能力が向上していくんです!

いったいどんな能力が身に付くのでしょうか?

記憶力・思考力がアップする

ピアノ学習は直接ピアノに関わらない記憶力や思考力を高める効果があります。

まさに一石二鳥!とても嬉しい効果ですよね!

記憶力や思考力は学習の基礎とも言える大事な要素です。

この2つを鍛えることは、学習能力の基礎をガッシリと固めることにつながります。

なぜ一見関係なく思える「ピアノ学習」で、これらの能力が向上するのだと思いますか?

先ほどの章で解説したように、「ピアノを弾くという行為自体が脳を刺激するから」というのも理由の一つです。

しかしじつは、自分の感情や気持ちに関係するもっと深い理由があるんです!

ピアノの学習をするうえで、好奇心や快といったプラスの感情を体験しますよね。

例えば、「ピアノが楽しい」「この曲好き」「できた」「もっと難しい曲を弾きたい」といったポジティブで前向きな感情です。

こういった「好き」や「快」を感じると、ドーパミンという物質が分泌され、脳の「海馬」が刺激されます。

海馬が活性化することで神経細胞が増え、体積がどんどん大きくなっていくんです!

海馬は主に記憶や思考をコントロールするところです。

また「脳の司令塔」とも呼ばれ、脳のあらゆる領域と連携する役割も担っています。

ピアノ学習で生じたプラスの感情によって海馬が鍛えられ、記憶や思考に関する能力が向上、さらには脳全体の発達にもつながる、ということになります。

社会で生きていくために必要な能力がアップする

なんと…ピアノ学習は社会で生きていくために必要な能力もアップさせます!

そもそも、社会で生きていくために必要な能力ってなんでしょうか?

思い浮かぶものはたくさんあると思いますが、ここでは以下の例をあげます。

  • 意欲
  • 知的好奇心
  • 自己肯定感
  • 自信
  • コミュニケーション能力
  • 共感力
  • やり抜く力
  • 困難を乗り越える力

などなど…これらの能力は全てピアノ学習によって鍛えることができます!

ここで大切になるのは、「熱中体験」です。

ピアノに限らず、何かに打ち込む・熱中するという経験をした人たちは、その経験からたくさんの学びを得ています。

例えば、ピアノに熱中している人は、難しい曲や奏法に当たったときでも、「乗り越えよう」「最後までやり抜きたい」と挑戦し続けますよね。

その過程で、「どうやったら弾けるようになるか」と考える知的好奇心や、問題解決に対する意欲、困難を乗り越える力など、さまざまな能力を獲得していきます。

こうして得た能力たちは、ピアノという1つの分野を越えて、学業や趣味、仕事でも発揮することができます。

ピアノが弾ける人、ピアノに熱中した経験がある人は、他の分野でも活躍できる人間へと成長することができるんです!

また、何かを究めた人は自信がつきます。

そのため新たな挑戦への意欲も湧き、チャレンジ精神を培うことにも直結します。

ピアノが弾ける人は、こういった思考・行動の面からも「頭がいい」「学習能力が高い」と考えることができますね。

外国語の習得が早くなる

ピアノ学習によって英語やフランス語、中国語など、外国語の習得がしやすくなります。

ピアノと外国語、何の共通点があるの?と疑問に思いますよね。

これらに共通することは「音」です。

じつは、「言語の音」を処理する所と、「音楽の音」を処理する所は非常に近く、むしろ重なり合っています。

そのためピアノを弾くときの脳の働きは、言語を学ぶときの脳の働きと似ているんです。

突然ですが…みなさんは幼少期の頃どうやって日本語を覚えましたか?

お母さんやお父さんの話している言葉を耳で聞いて、それを真似していましたよね。

きっと最初から書いたり読んだりできた人はいないと思います。

このように、幼少期は言葉を「音」として覚えています。

音をうまく利用することが、外国語を習得するうえで非常に大切なんです。

ピアノを通して音を聞き分ける能力が身につき、子音の微妙な聞き分けが必要な外国語の習得にも効果が発揮される、ということですね!

【まとめ】ピアノが弾ける人は学習能力が高い

  • ピアノが弾ける人は頭がいい
  • ピアノを弾くことで脳の大部分が刺激される→頭がよくなる!
  • ピアノは記憶力や思考力、社会で生きていくための能力、言語能力も向上させる

ピアノが弾ける人は頭がいいというのは、どうやら本当のようです。

さらに、「学力」が高いだけではなく「コミュニケーション能力」や「やり抜く力」など、いろいろな分野の能力も高いことがわかりましたね!

これを一言で言い換えると、「学習能力が高い」と表すことができます。

ピアノの経験は、学校で勉強をするとき、仕事をするとき、人付き合いをするときなど、

ありとあらゆる場面で発揮されるでしょう。

多くの場面で高い能力が発揮されるから、ピアノが弾ける人は頭がいいイメージがあるのではないでしょうか。

今回は以上です。

下記のページでは、ピアノに興味がある方向けの記事を紹介しているので、よろしければご覧ください!

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ここまでお読みいただきありがとうございました!
あらためてふくるーと申します。
20代後半で、ピアノを教えています。
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