- 「電子ピアノを買うのはもったいない?」
- 「電子ピアノを買ったけど、無駄だったのかな…」
- 「電子ピアノでは上達できないのかな…」
ピアノを練習するには、アコースティックピアノのほうが良いと思いこんでいませんか。
もちろん良さはあるのですが、住宅環境などでアコースティックピアノを持つのは難しい場合もありますよね。
電子ピアノとアコースティックピアノは、似ていますがまったく別物。
電子ピアノには電子ピアノにしかない良さがたくさんあるんです!
「電子ピアノを購入したけど、ちょっと後悔している人」
「初心者向け電子ピアノからの買い替えを検討している人」
は、必見です!
- 電子ピアノならではの楽しみ方
- アコースティックピアノとの違い
- 買ってよかったと思える電子ピアノの選び方
電子ピアノは買っても無駄ではない
電子ピアノを買って後悔する必要はまったくありません。
なぜなら、電子ピアノにはアコースティックピアノにはない優れた機能がたくさんあるからです。
ピアノが趣味の僕も、学生時代に安い電子ピアノを買いました。一人暮らしをしていたアパートで、よく深夜にヘッドホンを使って弾きこんでいました。
弾きたいときに気兼ねなく弾けるのは、電子ピアノならではだと思います。
もちろん電子ピアノのタッチや音は、アコースティックピアノとは似て非なるものです。
しかし、最近の電子ピアノの進化はめざましく、本物に引けを取らないものもあります。
電子ピアノだからこそできる楽しみ方や、アコースティックピアノとの違いを知れば、電子ピアノが無駄なんて思わないでしょう。
電子ピアノだからできる楽しみ方
電子ピアノには、アコースティックピアノにはない機能がたくさんあります。
電子ピアノだからこそ楽しめる方法を、6つ紹介します。
音量調整やヘッドホンで、周りを気にせず演奏できる
電子ピアノは、音調調整やヘッドホンを使えば24時間いつでも演奏できます。
学校や仕事へ行く前、あるいは夕食後ほっと一息ついたあとの深夜など、時間帯を気にする必要がないのは大きなメリットです。
また、集合住宅などアコースティックピアノの設置が難しい環境でも、電子ピアノなら問題ありません。
ちなみに、アコースティックピアノの音の大きさは約90〜110dB。
なんと、地下鉄の騒音と変わらない音の大きさだそうです。
周りに気兼ねすることなく弾きたいときに弾けるのは、上達への近道にもなりますね。
いろいろな楽器の音を使って演奏できる
電子ピアノにはピアノ以外の音を出せるものも多くあります。
音色数は、10前後〜300以上。上位機種の方が、音色の数は多い傾向にあります。
具体的には、グランドピアノの他にエレクトリックピアノ、オルガン、ストリングス、ハープシコード、ベースやドラムなどの音色が搭載されています。
グランドピアノだけでも、何種類もの音が搭載されているものもあります。
弾く曲に合わせて音色を変えると、曲の雰囲気ががらっと変わって楽しいですよ。
いろいろなピアノの音を試せるのは、アコースティックピアノにはない楽しみ方ですね。
録音機能で自分の演奏を確認できる
録音機能がある電子ピアノなら、演奏を録音して振り返ることができます。
客観的に自分の演奏をチェックできるので、「もっとこうやって弾いてみよう」と効果的な練習につながります。
また、多重録音機能があれば、録音した音にほかの楽器の音を重ねられるので、電子ピアノ一台でセッションすることができます。
USBメモリ対応であれば、演奏をwav.やmp3.データとしてパソコンに取り込むことも可能です。
アコースティックピアノの音を録音しようとすると、打鍵の音や周囲の雑音が入りやすく、なかなか難しいものです。
ピアノの音だけをキレイに録音できるのは、電子ピアノならではですね。
内蔵曲を聴いたり弾いたりして楽しめる
電子ピアノに収録されている曲を再生したり、一緒に弾いたりすることができます。
内蔵曲は、クラシックの名曲、ピアノ練習曲、ジャズ、童謡、ポピュラー曲など、誰でも一度は聞いたことがある曲が多いです。
これは、曲を繰り返し聞いて覚えるのにもとても便利です。
また、機種によっては片手ずつ聞ける機能やテンポを変えられる機能もあり、練習にとても役立ちます。
内蔵曲といっても演奏はピアニストがしているので、BGMとしても十分楽しむことができますよ。
Bluetooth対応なら、スマホやパソコンと連携できる
Bluetooth機能を使って、スマホ、パソコンなどと接続して音楽を楽しむこともできます。
Bluetooth機能には、Bluetooth MIDIとBluetooth オーディオという2種類があります。
Bluetooth MIDI(ミディ)は、演奏をデータ化してパソコンに取り込み、アプリを使って編集できる機能です。作曲したりするときに便利です。
Bluetooth オーディオでは、電子ピアノをBluetoothスピーカーとして使うことができます。スマホに入っている曲を流すこともできます。
電子ピアノのスピーカーは高音域から低音域までの幅広いピアノの音をしっかり鳴らせるようにできています。
そのため、スマホのスピーカーとは全く別物の、迫力ある音で聴くことができるんです。
なお、スピーカーとしての使用はBluetooth オーディオのみのため注意が必要です。
コンパクトでおしゃれなデザインも豊富
電子ピアノはアコースティックピアノと比べてコンパクトに出来ています。
アコースティックピアノのような圧迫感が少ないため、部屋に馴染みやすいです。
一例ですが、大きさの比較はこちらをご覧ください。
電子ピアノ (一般的な88鍵盤) | アップライトピアノ (YAMAHAの場合) | グランドピアノ (YAMAHAの場合) | |
---|---|---|---|
横幅(㎝) | 140~146 | 147~156 | 150前後 |
高さ(㎝) | 70~80 | 113~131 | 100前後 |
奥行き(㎝) | 30~45 | 60~68 | 149~227 |
重さ(㎏) | 40~100 | 210~275 | 255~410 |
電子ピアノは大人2人ならもち運べるくらいの重さなので、簡単に移動できます。
アップライトピアノは電子ピアノと比べて背が高いので、置き場所によっては圧迫感があります。
グランドピアノはご存じの通り、「でーーーん」と存在感を放っています。
電子ピアノには、家具メーカーとコラボしたものなど、デザイン性の高い商品もあります。
お部屋の雰囲気に合った電子ピアノなら、見ているだけでも気分が上がりますね。
電子ピアノの音が鳴る仕組み
そもそも、電子ピアノとアコースティックピアノの構造は全く異なります。
電子ピアノは簡単に言うと、音が出る部分がデジタル化されています。
まず鍵盤を弾いたときのタッチを、センサーが読み取ります。

叩かれた弦の振動がピアノ全体を共鳴させて、音が出る仕組みになっています。
アコースティックピアノとの大きな違いは「音」と「タッチ」
電子ピアノとアコースティックピアノでは「音」や「タッチ」が違うと言われます。
その違いはいったい何なのか、両者を比べながら解説します。
アコースティックピアノは楽器全体が共鳴する
前述の通り、アコースティックピアノは弦の共鳴によって音が生まれます。
「音が違う」と言われやすい理由は、この共鳴にあります。
アコースティックピアノでは、弾いた弦の響きがそのほかの弦にも伝わります。
そして、弦と弦の共鳴が楽器全体に複雑に伝わることで、豊かな音色を奏でることができるのです。
弾き方によっても音色は大きく変化するため、弾き手の表現力を豊かにしてくれます。
一方、電子ピアノの音は、グランドピアノから録音した音源をもとに作られています。音源には2種類あります。
- サンプリング音源
グランドピアノの88鍵盤全てを1音ずつ録音して作る。
- モデリング音源
録音したピアノ音をデジタル技術によって分析・加工したもの。
アコースティックピアノの発音の仕組みを計算して音を作り出しており、鍵盤のタッチに応じた自然な音が特徴。
最先端の技術により、電子ピアノの音色もアコースティックピアノに迫るものがあります。
しかし、電子ピアノの音はあくまでスピーカーから出る音なので、アコースティックピアノのような豊かな響きや音の余韻には、どうしても劣ります。
タッチの違いは鍵盤の構造の違い
アコースティックピアノのタッチは、電子ピアノに比べると重く、音も大きいです。
その理由は、鍵盤構造が違うからです。
アコースティックピアノの鍵盤は木製で、鍵盤を弾くとハンマーが動きます。
実は、ハンマーは低音域から高音域にかけて少しずつ小さくなっています。
そのため、低音域のタッチは重く、高音域は軽くなっているのが特徴です。
一方、電子ピアノの鍵盤は大きく2種類あります。
- 樹脂鍵盤(プラスチック)
15万円くらいまでのエントリーモデルに多い。
鍵盤の内部はほぼ空洞で、比較的タッチは軽い。
クッション性が少ないため指が疲れやすいとも言われる。
樹脂鍵盤のタッチ感に慣れてしまうと、アコースティックピアノは重たく感じ、思ったように弾けない場合がある。
- 木製鍵盤
20万以上の機種のほとんどは木製鍵盤を使用。
アコースティックピアノのような重みを感じながら演奏できる。
打鍵後の鍵盤戻りが早く安定しているため、連打性に優れている。
なるべく「本物のピアノに近いタッチの電子ピアノが良い」と思う人は多いと思います。その場合は、木製鍵盤が使用された機種を選ぶとよいでしょう。
電子ピアノとアコースティックピアノでは、上達に差が出る?
ずばり、電子ピアノでもアコースティックピアノに劣らず十分に上達できます。
ただし、クラシックで高い表現力を身につけていくには、アコースティックピアノの方が向いています。
ピアノを始めたばかりの人、趣味で弾いている人にとっては、たくさんピアノに触れることが上達への近道です。
そして、何よりピアノを楽しむことが大事ですから、弾きたい時にいろいろな楽しみ方ができる電子ピアノはとても有利です。
しかし、アコースティックピアノのように、わずかなタッチの差によって生まれる豊かな音色を表現するには、電子ピアノでは限界があります。
また、軽いタッチの鍵盤で練習していると手指の力が付きにくいです。
いざアコースティックピアノを弾くと、鍵盤が重くて思うように指が動かせないなんてこともあります。
ピアノでの目標や弾きたいジャンルにもよりますが、アコースティックピアノに近い表現ができるピアノを選び、練習することで、電子ピアノでも十分に技術を身につけることができます。
買ってよかったと思える電子ピアノを選ぶポイント
ずばり、なるべくアコースティックピアノに近い電子ピアノを選ぶことがおすすめです 。
なぜなら、
- アコースティックピアノとの鍵盤タッチの差が大きい
- 強弱がつきにくく、思ったように表現できない
このような理由で、「電子ピアノは無駄だったかも…」と感じることが多いからです。
そんな電子ピアノを選ぶポイントを3つ紹介します。
1.本物に近いピアノタッチを求めるなら「鍵盤の材質と構造」
本物のピアノに近いタッチを求めるなら、前述した木製鍵盤がおすすめです。
どのメーカーも20万円以上の電子ピアノは木製鍵盤ですが、微妙に違いがあります。
YAMAHA | 白鍵のみ木製、黒鍵はプラスチック製 |
---|---|
KAWAI | すべての鍵盤が木製鍵盤 |
Roland | 細い樹脂を木材で挟み込んだハイブリッド構造 グランドピアノに近いタッチ感と耐久性がある |
なお、CASIOはハイブリッドピアノ(後述します)以外は樹脂鍵盤です。
しかし、予算の都合で木製鍵盤は選べないという場合もあると思います。
そんなときは、樹脂鍵盤の中でもセンサーが3つある鍵盤、または、精度の高いセンサーが搭載された鍵盤を選ぶのがおすすめです。
なぜなら、電子ピアノは鍵盤にあるセンサーが指の動きを読み取り、音を出しているからです。
精度の良いセンサーを選ぶことで、弱く弾いたときは弱く、強く弾いたときは強くと表現豊かに弾くことができます。
実際に楽器店で選ぶときのチェックポイントはこちら!
- 鍵盤を1つ押さえてみて、鍵盤の側面をチェック!木目調なら木製鍵盤です。
- 低音域・中音域・高音域といろいろな高さの音を弾いて、鍵盤の重さを感じてみましょう。
- いろんな強さで弾いてみましょう。思ったような強弱がつきますか。
- 「ドドドド…」と同じ音を連打したり、「ドレドレドレ…」と隣り合った音を速く弾いて、鍵盤の戻りや音の出具合を確認しましょう。
2.音質が変わる「音源・スピーカーの数」
音源やスピーカーの数は、音質に大きく影響します。
良い音質の電子ピアノなら、表現できる幅が広がるのでとても重要です。
音源
どのメーカーも、最高級といわれるグランドピアノの音を使用していますが、メーカーによって音の特徴があります。
同じ価格帯のものを聞き比べて、自分好みの音を探してみましょう。
メーカー | 音の特徴 |
---|---|
YAMAHA(ヤマハ) | 全体的に明るくさわやかな音 |
KAWAI(カワイ) | 重厚感のある低音とキラキラした高音 |
Roland(ローランド) | 広がりのあるのびやかな音 |
CASIO(カシオ) | シャープではっきりした音 |
KORG(コルグ) | 明るく力強い音 |
スピーカー
下位機種の電子ピアノのほとんどは2スピーカーです。
上位機種になると、4スピーカー、6スピーカーと多くなります。
スピーカーが多いと音の強弱のつき方が自然になり、楽器全体から音が鳴っているように聴こえるため、豊かな音を表現することができます。
「普段はヘッドホンか小さな音でしか弾かない」という人にとっても、スピーカーはとても大事なんです。
なぜなら、電子ピアノの多くは、ボリュームを小さくして弾くと音の強弱がほとんどつかなくなってしまうからです。
実際に楽器店で選ぶときのチェックポイントはこちら!
- メーカーごとに音を聞き比べるときは、同じ価格帯のものを選びましょう。
- 小さい音量で弾いたときに、音の強弱がつくかどうか確認しましょう。可能であれば、ヘッドホンを使用したときの音も聞いてみましょう。
3.さらにこだわりたいなら、「ペダル」と「同時発音数」
「ペダル」の機能や、「同時発音数」もチェックしてみましょう。
難易度が高い曲でも、思ったようにのびのびと弾くことができます。
ペダル
ハーフペダル機能がついているものがおすすめです。
ハーフペダル機能とは、音を伸ばすダンパー(サステイン)ペダルの踏み加減によって、音の伸び具合や響きをコントロールすることができる機能です。
スタンド一体型の電子ピアノなら、ハーフペダル機能がついているものが多いです。
ポータブルタイプに付属しているダンパーペダルには、ハーフペダル機能がついていない場合もあるため、確認しましょう。
同時発音数
同時発音数とは、電子ピアノが一度にいくつの音を鳴らせるかを表す数です。
音の数が同時発音数を超えたときは、先に鳴らした音から途切れていきます。
同時発音数は64〜324、ピアノ音色に限り無制限という機種もあります。
通常の演奏で問題になることはあまりありませんが、ペダルを多用するテンポの速い曲では足りなくなることもあるようです。
今後そのような上級曲も弾いていきたい場合は、同時発音数が多い機種をおすすめします。
おまけ~上級者向け ハイブリッドピアノの世界~
ハイブリッドピアノとは、アコースティックピアノと電子ピアノの良いところどりをしたピアノです。現在の電子ピアノの最高峰に君臨しています。
ハイブリッドピアノには、アコースティックピアノのハンマーアクションが搭載されています。
弦は張られていませんが、高感度センサーと良質なスピーカーで表現豊かな音を奏でることができます。
本格的にアコースティックピアノで練習したいけど、どうしても自宅には置けない人、お子さんにピアノを習わせたいけど電子ピアノには抵抗がある人には向いています。
ただし値段もアコースティックピアノ並みに高価です。
興味のある方はご覧ください。
アコースティックピアノも弾きたい‼そんなときは
自宅では電子ピアノで練習していても、時にはアコースティックピアノも弾きたいことがあると思います。
例えば、
- グランドピアノで発表会が予定されている
- アコースティックピアノのタッチも覚えておきたい
という場合には、アコースティックピアノに触れておきたいですよね。
アコースティックピアノは、公共施設、音楽教室のレッスンルーム、音楽スタジオなどを借りて利用することができます。だいたい1時間800〜1,600円程度です。
また、アコースティックピアノは手に入るものの、騒音などの問題で使いにくい場合もあるかもしれません。
例えば、
- アコースティックピアノはあるが、時間を問わずいつでも楽しめるようにしたい
- 実家にピアノはあるが、現在の住宅環境では使いにくい
その場合、「アコースティックピアノに消音ユニットを取り付ける」という方法もあります。
消音ユニットについて、詳しくはこちらをご覧ください。
ただし、消音ユニット使用時には、カタカタと打鍵音が大きくなりやすいというデメリットがあります。
あくまで、アコースティックピアノの良さは生音を出すことであるため、昼夜問わず生音を鳴らせない場合は電子ピアノをおすすめします。
まとめ:電子ピアノでも十分使えるピアノライフを楽しもう♪
電子ピアノとアコースティックピアノは似て非なるものです。
しかし、時間を気にせず練習できたり、さまざまな音色で演奏できたり、気軽に録音ができたりするのは電子ピアノだからできる楽しみ方ですよね。
最近の電子ピアノ技術の進歩は目覚ましく、上位機種ではアコースティックピアノに引けを取らないものも多くあります。
電子ピアノを選ぶときは、お財布と相談しつつ、可能な限りアコースティックピアノに近い「タッチ」と「音」にこだわって選ぶと、思い通りに表現できる演奏ができると思います。
電子ピアノは無駄なんて思う必要はまったくありません!
ピアノに親しみ、ピアノのある生活を楽しんでみませんか。
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