「ピアノのブランクが10年もあって、今更上達できるのかな…」
「ピアノを再開しても、以前のようには弾けないんじゃないだろうか…」
この記事を開いた方は、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。ブランクがある状態から、またピアノを始めるというのは勇気のいることですよね。
この記事では、一度ピアノをやめ、再開しようと思っている方へ、ピアノを楽しく弾くために知っておいてほしいポイントや上達方法を説明していきます。
本記事の内容
- ブランクがあっても大丈夫なのか
- ピアノを再開する際の注意ポイント
- ブランクを埋め、上達するために試したい方法
ブランクに不安を感じている方は、この記事を参考にして楽しいピアノライフを送ってください!
ブランクが10年あっても問題ない?
結論から言うと、10年以上のブランクがあっても問題ありません。
ブランクがあっても、もう一度練習をすればピアノを弾くことはできます。
なぜなら、ピアノの演奏は「手続き記憶」としてあなたの身体が覚えているためです。
「手続き記憶」とは、同じような経験を繰り返すことで作られる記憶のことです。
例えば、自転車に一度乗れるようになると、乗らない期間ができてもきちんと運転することができますよね。上手く乗れなくとも、少しの練習で感覚を取り戻すことが可能です。
よく「身体が覚えている」などと耳にしますが、それはこの「手続き記憶」によって物事の感覚を覚えていることを指しています。
「手続き記憶」は長期的な記憶なので、簡単に忘れることはありません。
そのため、過去にピアノを演奏していた経験がある方は、その経験をきちんと覚えているので、ブランクがあっても上達することが可能なのです。
「そうは言っても、上達する気がしない」と不安に思う方もいるかと思います。そんな方に、ブランクが10年以上ある方が再び練習をして、曲が弾けるようになった動画を紹介します。
・革命のエチュード(ショパン)ブランク10年以上で挑戦しました
・ピアノブランク20年…独学で弾くホールニューワールド
いかがでしょうか。このように、ブランクがあっても再び弾けるようになることはできるのです。
練習次第で、かつて弾いていた曲を弾くのはもちろん、それ以上に難しい曲でも弾くことができます。
ブランクがあっても問題はありません。焦らず、自分のペースで始めることが大切ですよ!
詳しい練習方法や注意するポイントについては、次章から解説していきますね。
ピアノを再開する上で注意するポイント
10年も経つと、以前の自分とは違う部分がたくさんあるものです。いきなり、以前と同じようにピアノを始めると、最悪、怪我をしてしまう可能性もあります。
どういうところに気をつければいいかを知ることで、怪我のリスクが減りますし、モチベーションの維持にも繋がるのです。
ここでは、ピアノ再開において注意してほしいポイントを解説します。
以前の自分と比べすぎていないか
以前の自分と比べるのを辞め、現在の状態に集中することで、ピアノを弾くモチベーションを保つことができます。
ピアノを再開するとなったら、ピアノを弾いていた10年前の自分と比較してしまうことが多いのではないでしょうか。
「以前は、もっと指が動いたのに…」
「以前だったら簡単にできていたことが、今は全くできない…」
このように以前の自分と比べるということは、あなたによい影響を与えません。
比較をしすぎて、モチベーションの低下に繋がる可能性が高いのです。
あなたが思い描く以前の自分は、来る日も来る日も練習を重ねていたときの自分です。ブランクがある今の自分よりも弾けていてある意味当然ですよね。
それに、今の自分と以前の自分は、全くの別人と言っても過言ではありません。10年前に比べて、身長や体重、手の大きさなど、異なっている部分はたくさんあるはずです。
以前のような感覚でやったら上手くいかなかったというのは当たり前のことなのです。
昔できていたことができなくなり、悲しくなる気持ちは痛いほどわかります。
私も、高校でテニスをしたときに、受験で1年間のブランクがある状態からのスタートでした。
久々にやってみたら、球は明後日の方向に飛んでいき、以前の自分とのギャップに衝撃を受けたのを覚えています。
以前の自分に囚われるあまり、途中でやる気を失い、せっかく再開したピアノをやめることになってしまったらとてももったいないです。
そうならないためにも、今の自分に集中してみることをおすすめします。
「今の自分がもっと上手くなるためには、どうすればいいだろう」
「この曲を弾けるようになるためには、どのように練習すればいいだろう」
このように、今の状態に集中して、自分がどうすればよいのかを考えましょう。
先程も説明したように、身体は以前、演奏していたときのことを覚えています。
今できることに集中して練習することで、きっとよい結果が現れるでしょう。
焦らず自分のペースで練習することが大切です!
身体や記憶力に衰えがあるということ
ピアノを弾いていた若いときと比べると、どうしても衰えがあるものです。
「指の動きが悪い」
「楽譜がなかなか覚えられない」
このようなことは、ブランクがあるなしに関わらず、年齢を重ねていくと起こってしまうことです。
しかし、年齢的に以前よりも衰えがあると割り切っていれば、
「ウォーミングアップをしっかりと行ってから練習しよう」
「曲を聴き込むようにしたり、暗譜に頼らないようにしよう」
などと、問題に対する対策を考えられるようになります。
衰えがあることに対し、悲しいと思う気持ちはわかります。しかし、何度も言うように、大切なのは現在の自分です。
今の自分を受け入れてあげて、どうすればより良い練習につながるのか考えてみましょう。
適度に休憩を取り、無理をしすぎない
適度に休憩を取ることは、怪我を防ぐため、そして練習の効率を上げるためにも必要なことです。
練習をする際、休憩を細かく取ってあげることで、怪我を防ぐことができます。無理に練習を続けてしまうと、指や手首を痛めて腱鞘炎になる恐れがあります。
楽しくピアノを弾きたいのに、怪我をして身体を痛めてしまっては、ピアノを弾くのが億劫になってしまいますよね。
そうならないためにも、適度に休憩を取り、無理な練習は避けるようにしましょう。
また、練習後はお風呂に入って身体を温めることなども効果的です。
休憩は怪我の予防になると言いましたが、休憩の効果はそれだけではありません。
休憩することで、練習の効率を上げることもできるのです。
練習というのはもちろん大切ですが、実は、「上達するのは休憩の最中」という研究結果が出ているのを知っていましたか?
意外なことに、頑張って長時間続けて練習するよりも、細かい休憩をたくさん取るようにした方が物事は上達します。
↓詳しい内容はこちらの記事から
休憩というのは、身体を休めるだけでなく、上達にも効果的な一石二鳥の行為というわけですね。
「25分程度練習したら5分休憩する」など、細かく休憩を入れるようにすると、日々の練習に良い効果を与えてくれますよ。
ブランクを埋め、上達する方法
ここでは、10年のブランクを埋め、上達するための方法について解説します。
先ほど解説した注意ポイントに気をつけながら練習することで、より効率が上がると思います。
また、何度も言うようですが、大切なのは自分のペースで練習することですので、焦らずに楽しんで練習しましょう。
目標を持つ
目標を持つことで、モチベーションに加え、パフォーマンスも向上します。
目標と現実とのギャップから生じる緊張を解消しようと、頑張ってそのギャップを埋める行動をするのだとか。
そんな目標を、上手に設定する方法を3つ紹介します。
1. チャレンジングな目標を設定する
挑戦しがいのある、チャレンジングな目標を立てましょう。
科学的には「ちょっと達成が難しそう」レベルの目標にしたほうがやる気が出やすく、達成度が上がるとされています。
たしかに、簡単すぎる目標だと気合は入りませんし、達成不可能に感じる目標では取り組もうと思えません。簡単すぎても難しすぎてもダメなんですね。
自分にとって程よい負荷の目標にすることで、パフォーマンスが向上しますよ。
2. 具体的な目標を設定する
具体的でわかりやすい目標を設定しましょう。
「上手く弾けるようになる」などは、とても抽象的で、「上手く」は一体どこまでいけばいいのかわかりませんよね。
例えば、
- 〇〇という曲を3ヶ月を目標に弾く!
- 毎日2時間練習して、1ヶ月に60時間は練習する!
- 今月は初見練習として1日に1曲、簡単な楽譜を読む!
- ピアノの発表会に出場する!
などですね。
このような具体的な目標を設定するのが好ましいです。
3. 長期的な目標と短期的な目標を設定する
長期的な目標と短期的な目標の2つを設定すると、より良い目標設定ができます。
長期的な目標というのは、例えば、「〇〇の曲を通しで弾けるようにする」のような最終的な目標ですね。
短期的な目標は、その最終目標から逆算してたてる目標です。
例えば、〇〇の曲を弾くにはこの技術が必須だ→この技術を上達するには、この練習が必要だ→じゃあ、毎日5分、この練習をしよう
このように、長期目標を達成するのに必要なことを短期目標で設定するというイメージです。
↓目標設定に関する詳しい内容はこちらの記事から
目標を上手に設定することで、ピアノの上達に大きく役立つと思います。ぜひ、初めに目標設定をしてから練習に取り組んでみてください。
ゆっくりなテンポから練習する
ゆっくりなテンポから練習することで、よりスムーズに上達することができます。
なぜなら、徐々にステップアップをしていくことで、急に高すぎる壁にぶつかることがなく、着実に実力を付けることができるからです。
階段というのは、小さな段差を1つずつ登っていくことで、高い場所に行くことができますよね。それがどうでしょう、いきなり1段目から1メートル近い段差があったら。
登ることが困難になり、目標の場所に行くことができないですよね。
いきなり難しいことをやろうとしても、壁にぶつかり、挫折してしまうでしょう。
そのため、始めはゆっくりなテンポから始めて慣れていってから、徐々にステップアップしていきましょう。
指のトレーニングをする
指のトレーニングをすることで、指が動きやすくなるのに加え、怪我をしづらくなる効果があります。
久々にピアノを弾くと、指が動かないと感じることでしょう。
それもそのはずで、何年もピアノを弾いていないと、指の筋肉が衰えていたり、指の動きを忘れていたりしていて、指の動きが悪くなっています。
指のトレーニングをすることで、指の筋力や柔軟性を向上させることができ、よりピアノが弾きやすくなります。
また、指が上手に使えるようになれば、怪我のリスクも減ります。なので、「指の動きが悪いな」と感じる方は指のトレーニングを日々の練習に取り入れてみましょう。
トレーニングメニュー
- 指を、反対の手で伸ばしたり、手のひらを揉む
- 手が温まってきたら、手を強く握る(5秒間)
- 今度は、手を大きく開く(5秒間)
- 手をリラックスさせる(5秒間)
- 2~4のメニューを10回行う
2~4は、手に収まるくらいのボールを握ったりするのも効果的ですよ。
このトレーニングは、手の柔軟性を向上させてくれるので、怪我の予防にもなりますし、指が動きやすくなります。
どこでもできるトレーニングなので、日常生活にこのトレーニングを取り入れやすいのも嬉しいポイントですね。
指のトレーニングは、調べると色々な方法が紹介されているので、気になった方は、他のトレーニングも試してみるとよいと思います。
ピアノ仲間を見つける
一緒に頑張る仲間を見つけることで、ピアノのモチベーションが高まり、ピアノを続けやすくなります。
「一人でピアノを弾くのは、続けられるのかが心配だ」
そう思う方も多いと思います。実際、一人で黙々と練習するだけでは、なかなかモチベーションを保ちづらいでしょう。
そんなときは、一緒にピアノを弾く仲間を見つけると、ピアノを続けるモチベーションが得られます。ピアノではなくても、一緒に楽器を演奏する仲間でも良いと思います。
仲間がいると、なにより心強いですし、何かあったときに相談できる人がいるというだけで、とても安心できるのではないでしょうか。
ピアノ仲間を見つける方法はいくつかあります。
1. グループレッスンを受ける
音楽教室のなかには、グループレッスンをしているところがあります。
同じ志を持った人が集まっているので、ピアノ仲間を作りやすいですね。
グループレッスンでおすすめな教室が、「ヤマハ大人のピアノレッスン」です。
このレッスンに参加する方には、「ブランクがあって、ピアノを再開し始めた人」も多くいらっしゃるそうです。
同じような状況のピアノ仲間がいるため、とても安心してピアノの練習に取り組むことができるのではないでしょうか。
料金はコースによって異なるようですが、そのなかでも「大人のピアノレッスン」のグループレッスン料金を紹介します。
1回 60分 月2回 | 1回 60分 月3回 |
初心者 6,050円~ | 初心者 8,800円~ |
中級者 7,150円~ | 中級者 9,900円~ |
中~上級者 8,250円~ | 中~上級者 11,000円~ |
2. 地元のピアノサークルに入る
実は、ピアノサークルというのは多く存在しています。
数人規模のものから数十人規模のものまで、そのサークルによって、規模も活動内容もバラバラですが、ピアノ仲間を見つけるには良い選択肢の1つになるでしょう。
活動内容は、練習会や発表会、情報交換など、色々と行っているようです。
探し方は簡単で、インターネットで、「住んでいる地域 ピアノサークル」などと調べればヒットします。
そのサークルが自分に合うものかどうかは、一度行ってみないとわからないですが、仲間が欲しいと思っている方は、行ってみる価値があると思いますよ。
3. SNSを活用する
SNSを活用することでも、ピアノ仲間を探すことが可能です。
Twitterなどで、ピアノの練習風景を投稿したり、ピアノに関することを呟くことで、その投稿に反応がもらえることがあります。
ピアノを頑張って練習しているという方が多く、なかにはブランクがあって、ピアノを再開したという方も多くいるので、自分と似た境遇の方が見つけやすいです。
演奏の動画を投稿して見てもらうだけでも良いですし、実際に他の方と交流してピアノトークに花を咲かせるのもよいでしょう。
演奏に対する反応があったら、モチベーションが上がるでしょうし、同じようにピアノを弾いている方と話すことで安心感を得ることもできると思います。
色々な使い方ができるので、あなたの目的に合った使い方で活用できるのがSNSのよいところかもしれませんね。
興味がある方は一度試してみてはいかがでしょうか。
まとめ ~ピアノを楽しもう~
ピアノはブランクがあっても、上達することが可能です。
長い月日が経った今だからこそ、昔よりも音楽を純粋に楽しむことができたり、ピアノを弾くのが楽しいと思うこともあるはずです。
ピアノを再開することに不安を覚える気持ちもわかります。しかし、そこでピアノを弾くのをためらってしまうのはもったいないことです。
大切なのは、自分のペースでピアノを楽しむことだと思います。昔の自分と比較して憂鬱な気分になるのではなく、今の自分を受け入れて、音楽を楽しむことで、ピアノを弾くことがより楽しくなるでしょう。
この記事で紹介した注意ポイントである、
- 以前の自分と比べすぎていないか
- 身体や記憶力に衰えがあるということ
- 適度に休憩を取り、無理をしすぎない
これらに気をつけた上で、ピアノを練習することで、怪我をするリスクが少なく、より楽しんでピアノを演奏できるはずです。
また、上達方法に関しても、
- 目標を持つ
- ゆっくりなテンポから練習する
- 指のトレーニングをする
- ピアノ仲間を見つける
これらの方法を取り入れてもらうことで、ピアノが少しでも上達しやすくなると思います。
昔は楽しんで弾けなかった方や再開して上達するのか不安に思っている方にも、この記事がピアノを楽しんで演奏することができるきっかけになれば良いなと思います。
ぜひ素敵なピアノライフをお送りください!
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